
「今さら?」
そう言われそうだけれど、海外ドラマ『エバーウッド 遥かなるコロラド』を、とうとう全部観終えた。
2000年代のドラマだから、本当に今さらである。
でもこれが、なかなか面白かった。
親子で激しくぶつかったり、恋愛でゴタゴタしたり、町の人たちにもそれぞれいろんな事情があって。
気がつけば、4シーズン全89話完走。
意外にも、あっという間に観終わった。
飽き性のこのあたしが、である。
自分でもビックリ。
さて、物語の始まりは、妻を亡くした医師アンディが、息子のエフラムと娘のデリアを連れて、ニューヨークからコロラドの小さな町エバーウッドへやってくるところから。
特に印象に残ったのは、アンディとエフラムの親子関係だった。
まぁこのふたり、よくぶつかる。
親には親の思いがあって、子どもには子どもの思いがある。
お互い大事に思っているのに、言わなくていいことは言うし、肝心なことは言わない。
「ちゃんと話しなさいよ」
何度そう思ったことか。
でも家族って、案外そんなものなのかもしれない。
恋愛ももちろんある。というか、結構話の中心だったりする。
それ以外にも、病気や仕事の話もあるし、町の人たちにもそれぞれいろんなことが起きる。
長いことこの町を見ていたせいか、観終わる頃にはすっかりエバーウッドの住民気分である。ブラウン家も、アボット家も、町の通りも、いまや見慣れた風景になってしまった。
最終回を観ながら、
「もうこの人たちの人生の続きを見られないんだな」
「もうこの町には来られないんだな」
と、そんな寂しさがあった。
ドラマを観終わったというより、長く住んだ町から引っ越すような心境なのだ。
そして、あたしがこのドラマで大好きだったのが、景色。
観てみようかなと思ったのも、それが大きな理由だった。
雄大な山並み、そして山々に囲まれた小さな美しい町。
ああいう景色が、昔から好きなのだ。
あたしの憧れる風景そのもの。
そこで、ちょっとロケ地を調べてみた。
ドラマの中のエバーウッドはコロラド州にある設定だけれど、実際には架空の町。
しかも第1話と、その後では、撮影場所まで違っていた。
第1話は、カナダのアルバータ州にあるカルガリーやキャンモアを中心に、一部は本物のコロラド州デンバーでも撮影されたそうだ。
キャンモアはカナディアン・ロッキーの山々に囲まれた町。
なるほど。
あの「山に抱かれた小さな町」という感じは、こういう場所から始まったのか。
そして第2話以降は、撮影の中心がアメリカのユタ州へ。
メインになったのはオグデンという町で、そのほかにもサウス・ソルトレイク、ドレイパー、パークシティなど、ユタ州のいろいろな場所で撮影されていたらしい。
オグデンの歴史地区にある25番街など、実際の町並みもエバーウッドの風景として使われていたという。
つまり、あたしが4シーズンずっと眺めていた「エバーウッド」は、一つの町ではなく、カナダの町や、コロラド、そしてユタ州の、いくつもの場所をつなぎ合わせて作られた町だったのだ。
そう考えると、なんだか面白い。
でも別に、
「あ、ここはユタ」
「ここはカナダね」
なんて観ていたわけじゃない。
あたしには全部が「美しく人間味あふれる町エバーウッド」だった。
ドラマの中にしか存在しない町なのに、4シーズンも通っていると、本当にどこかにありそうな気がしてくるから不思議だ。
そして、あんな町なら住んでみたいと、本気で思ったりして。
どうやらあたしは、こういう山々や、美しい自然に囲まれた小さな町に弱いらしい。
Netflixの『ヴァージンリバー』も、まさにそんな景色がたっぷり出てくるドラマで、あれも大好きだ。
あ、もうひとつ、観始めた頃から気になっていた人がいて。
エイミーのお兄さん、ブライト。
この人を見るたびに、
「……なんか見たことある」
そしてまた出てくると、
「やっぱり見たことある」
そしてまた目が合うと、
「絶対知ってるぞ」
で、調べてみたら。
クリス・プラットだった。
あーーー!
『ジュラシック・ワールド』の人じゃん!
そりゃ知ってるわ。
恐竜と戦っていたあの人が、こんなところにいたとは。しかも若い。
こういう「この人、どこかで……」が突然つながるのも、古いドラマを観る楽しみだったりする。
『エバーウッド 遥かなるコロラド』
楽しいことばかりじゃなくて、恋愛も、親子の葛藤も、人生の面倒くささや苦しさも、全部描いていた。
だから長く観ていても、飽きなかったのかもしれない。
そして最後には、ちゃんとそれぞれが自分の場所へたどり着いた。
よかった、よかった。
さて。
長らく住民気分だったあたしも、そろそろエバーウッドを離れるとしますか。
ちょっと寂しいけれど。
いい町だったな、エバーウッド。